緊張・あがり症は、人間の本能であり、誰でも、大なり、小なり、あがり症です。
この点について、詳しく、見ていきましょう。
目次
緊張・あがり症の原因 ~3つの基礎本能~
緊張・あがり症は、人間の本能であり、次の3つの基礎本能が関係しています。
①誰にも束縛されたくない「自由本能」
②外敵から自分を守る「自己防衛本能」
③自尊心を傷つけられたくない「自己尊厳本能」
この3つの基礎本能が満たされているときは、精神状態が穏やかで、心にも余裕がある状態ですが、
どれか、ひとつでも、外部から侵されると、
心にさざ波が立ちはじめ、精神状態が不安定になってきます。
人前で話をするときも、スピーチの日程を告げられたときから、「自由」を束縛されます。
当日が近づくにつれて、「上手に話をしなければ…」などと、自分にプレッシャーをかけていきます。
そして、本番を迎えれば、逃げ出したくても、逃げられません。
鎖で縛りつけられたような状態で、会場に行くと、なみいる聞き手に、圧倒されます。
こうして、「失敗したら大恥をかくぞ…」などという、マイナスの暗示を、自分自身に、大量に入れていきます。
自分の番になり、マイクの前に立つと、たくさんの人が、ジッと、自分を見つめています。
射るような目線を受けて、足がすくみ、手足が、心なしか震えてくるのです。
…さて、これだけ、基礎本能を刺激すれば、あがらないほうが、おかしいのです。
逆に言うと、
あがり症の原因がわかっているのですから、3つの基礎本能を、刺激する外圧から解放してあげればいいのです。
具体的には、次のアプローチが有効です。
①気持ちを切り替えて、「自発的」に話す
人に依頼されることで、束縛感をもつわけですから、「自発的」に行えばいいのです。
例えば、結婚式のスピーチでは、
新郎新婦の結婚式を、人ごとと思わずに、心から祝福すべき大切な機会として、
- 「二人には幸せになってほしい。そのために、スピーチをするんだ」
- 「お祝いの気持ちを、素直に伝えてみよう」
こう考えます。
これだけでも、プレッシャーは軽減され、
「うまくやらなくては…」などという、焦る気持ちから解放されて、
「準備をしてから臨もう」という、意欲につながります。
②「対面練習法」で、目線に慣れる
人前に立つことに、慣れていないと、大勢の人に見つめられるだけで、
恐怖感に襲われ、足が震えて、額から脂汗が出てきます。
自分を外敵から守ろうとする「防衛本能」の働きによるものです。
この働きを抑制するには、聞き手の目に慣れることが、先決です。
「これから、この人たちの前で、話をするんだ…」そう思いながら、例えば、
- 電車に乗っているとき、向かい側に座っている人の顔を、よく見る、
- 交差点で、信号待ちをしているときに、向かい側に立っている人の顔を、よく見る、
- 劇場などで、休み時間に、一番前に行き、客席側を振り向いて、観客の顔を見る、
など
…これを、「対面練習法」と言います。
こうした、訓練を積んでいくと、徐々に、人の目に慣れてくるので、
人前に出ても、必要以上に、恐怖感を覚えなくなります。
③自尊心に、必要以上のダメージを与えない
「こんな大勢の前で、恥をかいたら、大変だ。自尊心は、メチャクチャに傷ついて、立ち直れなくなるぞ…」
などと、頭のなかに、マイナスの暗示を入れていくために、
プレッシャーが強くなり、身動きができない状態に、陥るのです。
こうした、悪い想像を追放するには、
「しっかり準備することで、本番でもきちんと話せるはずだ。まずは目の前の練習に打ち込もう。大丈夫、スピーチまでに、まだ十分時間がある!」
…このように、
「良いイメージ」と「プラスの言葉」を、頭に、どんどん、送り込むのです。
イメージを実現させるために、十分な準備をして臨めば、必ず、あがり症を克服することができます。
人前に出て、スピーチをするときに、心臓がドキドキして、呼吸が乱れてきても、慌てずに、
「あがり症は、本能なんだ。私も、普通の人間でよかった…」
こう自分に言い聞かせることです。
マイナスのイメージを、吹き込むよりも、はるかに、自分の気持ちを、楽にしてくれます。
プレッシャーを軽減する方法は、いくつもある
「やりたくない」という気持ちを脇に置き、スピーチをする意義を探したり、電車や街中で、人の目線に慣れる練習をしておこう