あがり症は、病気ではありません。
人前で何かをするという、不安な状況に対して、肉体的、精神的に、緊張が高まり、正常な防衛本能が働いた結果として起きている、自然な反応にすぎないのです。
目次
1. あがり症とは
あがり症とは、人前に出たときに、感情が高ぶって、平常の落ち着きをなくした状態のことを言います。
しかし、「あがり症」は、病気の症状ではありません。
人前で何かをするという、不安な状況に対して、
肉体的、精神的に、緊張が高まり、
正常な防衛本能が働いた結果として起きている、自然な反応にすぎないのです。
どんなに堂々と話しているように見える人でも、
当日、その本番が近づくと、ソワソワ、ドキドキ、するものです。
また、場数を踏んでいる人であっても、
話し始めた瞬間に、緊張がサッと、とけて、落ち着いて話せる…なんてことは、おそらく、ほとんどないはずです。
それくらい、
「人前に立って話す」という行為は、誰もがプレッシャーを感じる場面であり、平常心で話すことは、並大抵のことではありません。
しかし、一度でも、「あがり症」を経験すると、
- 「私は、どうして、こんなに、あがり症なんだろう…」
- 「ほかの人は、落ち着いて、楽しそうに、話しているのに…」
- 「もしかして、何かの病気ではないだろうか…」
こう思う人が、意外に多いのです。
くり返しますが、「あがり症」は、病気ではありません。
人間の本能の働きによるものですから、誰でも、大なり、小なり、「あがり症」なのです。
人前に出ることに、強い苦手意識をもっている方は、
「あがり症は、病気ではない」ということを、強く自分に言い聞かせてください。
これだけで、気持ちがとても楽になるはずです。
2. あがり症を克服する、第一歩
「緊張しないように」「失敗しないように」「間違えないように」は、すべてNGワード
人の心には、相反する、二面性があります。
「積極的な部分」と、「消極的な部分」です。
あなた自身を、振り返ってみてください。
「自分はなかなか行動に移せないタイプだ」と思っている人でも、あるときには、積極的な行動をとったり、反対に、
「行動するのは早いほうだ」と思っている人でも、意外と考え込んで、身動きが取れなかったりすることはありませんか?
…このように、
誰の心にも、「明」と「暗」の、両面があります。
要は、日頃、どちらが強く表面に出ているかどうかの違いなのです。
人前で話すことになったとき、つい、心の「暗」の部分に目が向いて、
「うまくいかないのではないか…」
こう考えていませんか?
…これが、「ネガティブな暗示」をかけてしまう瞬間です。
そんなときには、
心のなかにある「明」の部分に目を向けて、うまく話せている場面を思い浮かべてください。
例えば、壇上に立ち、熱心に耳を傾ける聞き手の前で、にこやかに話している、自分の姿を、思い浮かべてみるのも、いいでしょう。
あるいは、割れんばかりの拍手の音や、話し終えて、体の底からエネルギーが満ちあふれる感覚を、想像してみるのも、いいでしょう。
視覚、聴覚、体感覚…、いずれかの優位な感覚を使って、自分の心にプラスのエネルギーを送ってみましょう。
些細なことではありますが、こうした行為が「プラスの暗示」となり、自分を支える「心の砦」(こころのとりで)となります。
練習するときも、背筋を伸ばして、キビキビと、明るい表情で、スピーチ原稿を読んでみましょう。
形から入ることで、心も、それにならって、変わっていきます。
ぜひ、お試しください。
落ち着いて話している場面を、イメージする